sgotoの日々是好日

茶道と共に歩み考える日々を綴ります

香付花月の香銘

「後藤さん、次のゼミで季節の香銘が三種類出ると思うからしっかり聞いてきてみんなにメールしてね」と友人から言われた。はじめは何のことかと思っていたら月末にやる香付花月之式(こうつきかげつのしき)で使うお香のことだった。 花月之式は五人ひと組で…

葉蓋の「葉」問題

「葉蓋」という点前がある。裏千家十一代玄々斎が七夕の茶会に際して、末広籠という花入の受け筒を水指に見立て、梶の葉を蓋がわりに使ったのが始まりだと伝わっている。点前の途中で葉を取り、折りたたんで建水に落とす。平建水や曲げの建水など口の大きな…

洗い茶巾と茶巾の絞り方

裏千家の夏の点前といえば、誰もが真っ先に思いつくのは「洗い茶巾」だろう。洗い茶巾は平茶碗に茶巾を流していれ、茶碗に少し水を入れ、茶筅と茶杓を仕組んで行う薄茶の点前である。 ちなみにわが流儀には「絞り茶巾」という点前もある。こちらは筒茶碗を使…

炭か電熱か、それが問題だ

茶道には炭手前と呼ばれるものがある。客の前で釜をおろし、風炉または炉に炭を入れて香を焚き、再び釜をかける。いよいよこれから茶の湯が始まりますよ、という前哨戦のようなものだ。私はこれが苦手である。 現代では炭を使わずとも火を起こし、湯を沸かす…

師匠が亡くなった日

茶道教室の前のつくばい それは歳も押し詰まったとある日の午後、いつものように稽古の準備をしているときだった。夫の携帯の呼び出し音が鳴った。画面に出た名前をちらっと眺めた瞬間、私は嫌な予感がした。 案の定、S先生が亡くなったことを知らせる電話だ…

茶道文化検定の思い出

お茶をやっている方なら「茶道文化検定」という名を耳にしたことがあると思う。「茶道」や「文化」という言葉の持つ雅で美しい世界を「検定」という現代的な物差しで測ろうというのは、野暮である。が、文化というのが歴史であり積み重ねである以上、それを…

細水指ふたたび

中置 昨年の10月に「細水指の謎」というエントリを書いてからはや一年が過ぎ、再び中置の季節が巡ってきた。つまり、オランダの葉タバコ柄の水指を求めてから一年が経過したということなのだが、実は今年また細水指を買ってしまった。 稽古用の細水指なんて…

名水点のキモ

名水点 名水点という点前がある。文字通り「名水」を用いて濃茶を練る点前のことである。名水を辞書で引くと「茶の湯や酒造に適した湧水や地下水のこと」といった説明があるが、茶の湯において名水とは「醒ヶ井(さめがい)」「利休井」「宇治橋三の間」など…

細水指の謎

中置 茶道で十月といえば中置である。 中置とは風炉を点前畳の左右中央に据えることである。「日ごとに涼しさが増し、火が恋しくなる時期に火を客に近づけ、水を遠ざけるのである」と説明されている。私もそのように習った。つまり、水指は勝手付側に置くの…

つぼつぼ棚とつぼつぼ紋

つぼつぼ棚を買った。 いつもの茶道具屋に抹茶を買いに行ったはずだったのだが、帰ってくる時はつぼつぼ棚と菓子器も一緒に手にしていた。どちらも通称「出物」(でもの)と言われる品々である。 茶道具というのはリサイクルの仕組みが整っていて、高齢のお…

千家十職の軌跡展をみてきた

千家十職の軌跡展 「千家十職の軌跡展」という名の展覧会を見に行った。 千家十職とは京都の三千家(表千家、裏千家、武者小路千家)お出入りの茶道具職人の家のことで、代々家業として千家好みの茶道具を作り続けている人々である。 お茶を習っている方なら…

唱和之式をやることになった

宗全籠に夏の花を入れて 友人たちと唱和之式をやることになった。 唱和之式というのは裏千家茶道の稽古の一つの形である。表千家、裏千家の茶道には七事式という稽古の形がある。8帖の茶室で5名以上が同時に稽古をする形として江戸時代に考案されたものだ…